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2020年10月19日月曜日

VTR250のリアスプロケットを39丁に交換してロング(ワイド)方向にしました[計算編]

購入時から既に錆び錆びだった私のVTR250。特にチェーンがダメで、走るとバキバキ鳴っていました(汗)
 
そこで、チェーン交換と同時にリアスプロケットの丁数を純正41丁から39丁に減らしてロング(ワイド)方向に調整することにしました。
 
今回はスプロケット交換によって期待される効果や、39丁にした場合の車速について計算します。 
 

 

〇スプロケットの丁数変更による効果

 
 チェーン式のバイクは、トランスミッションの出力軸から出たフロント(ドライブ)スプロケットと、タイヤに取り付けられたリア(ドリブン)スプロケットの間をチェーンが動力を伝達しています。
 この二つのスプロケットの歯の数(丁数)の比によって減速されて、最終的な回転運動となります。

 もう少し詳しく。VTR250純正の場合、フロント14丁、リア41丁となります。チェーンはしっかりと歯と噛みあっていますからズレません。ですので、フロントで1コマ分回ると、リアも1コマ分進みます。よって、フロントが41回転すると14×41コマ動いて、リアは14回転(14×41÷41)します。これにより、エンジンの回転を「えー感じ」に減速しているのです。
 
 計算すると分かりますが、以下の関係があります。

フロント
リア
効果
増す
減らす
ロング
減らす
増す
ショート


 ロング=最高速重視、ショート=加速重視と書かれていることも多いですが、実際はもっと複雑です。そもそもの出力限界の問題で、実際に最高速が伸びるかどうかは不透明です。それに、レブリミットでの速度が150km/hから155km/hに変わったとしても、何も恩恵は無いでしょう。
 実際には各ギヤが対応できる範囲がロングで広がったりショートで狭まったりする方が効果として大きく、使い勝手に直結します。また、ロング化することでタイヤに伝達できるトルクが目減りする=マイルドになる=反応が悪くなるので、慎重に検討する必要があります。

 また、こちらも計算すると分かりますが、フロントを変える方が効果が大きく、そちらを先に換えるのがセオリーのようです。しかし、ロングにしたい場合はフロントの丁数を増やす必要があり、チェーンケースにチェーンが当たるなどの懸念点があります。その辺りを鑑みると、今回はリアを減らしてロング方向にする方が安全だと判断しました。


〇なぜVTR250をロングに調整したいのか?

 
 1速が伸びなさ過ぎでエンジンブレーキも強くて使いにくい状態を緩和したいことと、各ギヤでもう少し高い速度まで粘れる方が扱いやすいと考えていたこと、4速60km/h巡航が嫌な振動が出ていたこと、60km/h巡航から高速道路巡航でもう少し回転数を落として走りたいことが理由にあります。(VTR250は2回目の所有で、初回の購入時から長年感じていたポイントでした)
 
 また、以前所有していた際にオーナーズクラブでも「5速じゃなくて6速にしてほしかった」「6速まであれば、巡航も楽なのに!」との声が根強くありました。よって、ロング化することで、6速とはいかずとも、5.3速(笑)ぐらいまでは伸びてほしいと考えました。
 
 VTR250はそれなりにトルクがあり、発進時やノロノロ走行でバランスを取るような場面は得意な方です。特に、住んでいるところが良い感じに田舎なので、急を要するストップアンドゴーもほとんどありません。ですので、ロング化することによるデメリットは感じにくいと判断しました。
 
 

〇VTR250のロング化を詳細に検討する

 
 せっかくなのでエンジンの回転数から速度に換算する部分も含めて紹介しましょう。
 各ギヤの減速比を含めて公式サイトに掲載されています。
 
変速比
1速2.733
2速1.8
3速1.375
4速1.111
5速0.965
減速比(1次/2次)2.821/2.928

 ここで、2次減速比がフロントとリアスプロケットによる減速比で、41/14=2.928です。また、車速に変換する際には、タイヤ一周で何m進むか?を計算する必要があります。タイヤサイズは140/70-17です。こちらのサイトではタイヤサイズから外径(直径mm)が求まります。627.8mmだと分かりましたので、タイヤ一周で627.8×3.14÷1000000[km]進みます。
 
 1時間あたりのエンジンの回転数をすべての減速比をかけたもので割り、タイヤ一周で進む距離を掛けると時速となります。計算してみましょう。
 1000rpmは1分間にエンジンが1000回転することを示しますので、1時間では1000×60回転です。1速の計算をしてみましょう。
 1000×60×627.8×3.14÷(2.821×2.733×2.928)=5.24km/h

 これをエクセルでざっくり計算するとこんな感じ。

回転数[rpm]1st2nd3rd4th5th
10005.247.9510.4112.8914.84
200010.4815.9120.8225.7729.67
300015.7223.8631.2438.6644.51
400020.9531.8141.6551.5559.34
500026.1939.7752.0664.4374.18
600031.4347.7262.4777.3289.02
700036.6755.6872.8990.20103.85
800041.9163.6383.30103.09118.69
900047.1571.5893.71115.98133.52
1000052.3879.54104.12128.86148.36


 これを、リア39丁にロング化してやると、2次減速比が2.928→2.786に変化します。これで再計算します。参考としてCB400SFの5thの結果も計算しました。CB400SFの計算をする場合は、ギヤ比の他にタイヤ径も変わることに注意してください。

回転数[rpm]1st2nd3rd4th5thCB400SF 5th
10005.518.3610.9513.5515.6015.19
200011.0116.7221.8927.0931.1930.37
300016.5225.0832.8440.6446.7945.56
400022.0333.4543.7854.1962.3960.75
500027.5441.8154.7367.7477.9875.93
600033.0450.1765.6881.2893.5891.12
700038.5558.5376.6294.83109.18106.31
800044.0666.8987.57108.38124.77121.49
900049.5675.2598.52121.92140.37136.68
1000055.0783.62109.46135.47155.97151.87
 
 すると、VTR250の5thがCB400SFの5thと同じような回転数-速度の関係となることが分かります。(トルクが違うので乗り心地も同じとは言いませんが…)
 
 実はこれは、私が最初にVTR250に乗っていた時に、オーナーズクラブの方が計算して推奨されていたセットアップ(だったと思う)となります。その方はロングツーリングもされる方で、巡航がかなり楽になる!と豪語されていました。(昌さん、元気にしているかなぁ…)
 
 各ギヤで50km/hや60km/hの町中巡航で使う速度の回転数を見ると、少しずつ低く抑えることができ、振動を抑制して、トルクの出方もマイルドにすることができると考えました。
 
 実際には、エンジンの回転数とトルクの特性により乗り味が変わりますので注意が必要ですが、39丁にロング化しても、ド定番CB400SFの設定に近く、ヘンテコなセッティングではないことが予想されました。 

 以上を考えましてメリットが大きく、一度チェーンを交換すると、スプロケ交換は相当先になってしまうと考えて、今回、思い切ってスプロケットも交換しました。


〇というわけで交換を決意


 以上、交換前にその効果を詳細に検討した結果をまとめました。計算式も書いておいたので、バイクが違う場合や違う丁数にしたい場合ははそれに合わせて計算してみてください。
 
 後編=交換編として、交換後のインプレッションを別記事にまとめておりますが、先に結論を書きますと、計算通りに巡航時に余裕ができて非常に満足しています。たしかに、出足は少しもっさりしましたが許容範囲内で、不都合がない程度にちょっとした味付けの変更ができて嬉しく思っています。 

↓実際に交換したインプレッションは↓の記事にまとめています
 
 スプロケットの丁数変更は、常識の範囲内(フロント±1丁、リア±2丁)であれば、大きなデメリット無く、バイクの出力特性を微調整できます。(取り付け不具合にはご注意!) また、お金はかかりますが元に戻しやすいカスタムでもあります。
 
 ご自身の感覚に合わせて調整いただけたら…と思います。

↓購入したのはサンスターのアルミ。スチールが良かったけど39丁はアルミしかない…

 
 
 ↓ザムにも設定があります。